『「生涯独身」社会』より、結婚にお金は必要か!?

『データで読み解く「生涯独身」社会』 (宝島社新書 2019/7/29 天野 馨南子)から、結婚するためにはお金が必要なのかどうかみていきます。

結納の文化はだいぶ廃れてきたとはいえ、まだまだ結婚式を挙げる夫婦は少なくありませんし、新居の引っ越しや婚約指輪など、結婚と言えばお金がかかるイメージ。結婚したいけど今の年収じゃ心配、と思っている方はぜひご覧ください。

年収にこだわる女性は結婚しにくい

未婚者は既婚者と比較して結婚生活に必要なお金を多く見積もる傾向にあることが紹介されています。2016年に実施された調査、明治安田生活福祉研究所「20~40代の恋愛と結婚-第9回結婚・出産に関する調査-」で20代30代女性が結婚相手に求める年収について、20代女性の57%、30代女性の68%が400万円以上の年収を求めているという結果になっています。

しかし、実際の男性の年収の現状を見てみると、20代未婚男性で年収が400万円以上の割合は15%、30代でも37%となっています。

前回の記事の中でも男女ともに結婚相手は年が近い人を希望する人が多いことを紹介しましたが、未婚男性の年収のデータから、女性が結婚相手に求める男性というのは3割もいない状態なのです。もちろん結婚相手に望むものは年収だけではありませんから、もともと少ないところからさらに条件を絞り込むためなかなか結婚相手に遭遇しないことは想像に難くありません。

また、30代女性の方が年収400万円以上を求める割合が高いことについて、年収の条件を譲歩できる人から結婚していくため、結果として年収にこだわる人の割合が高くなると著者は推論しています。

男性が大黒柱はもう古い

さきほどの調査で結婚生活を送るために必要だと考える世帯年収を調査したところ、400万円以上必要と考える人の割合は既婚者で59%なのに対して、未婚者では72%となっています。

では実際の世帯の平均所得額はどのくらいかというと、国民生活基礎調査では児童のいる世帯について世帯主が29歳以下の場合は416万円、30~39歳の場合は570万円となっています。

確かにどちらも400万円を超えているため、自分はそんなに年収がないからやはり結婚できないのだと思うのは早合点です。この調査では平均有業人員も調査していてそれぞれ1.43人、1.51人となっています。

つまりおよそ二組に一組の割合で共働きの家庭であることがわかります。一人で年収500万円というのは今の時代大変かもしれませんが、年収250万円が二人で世帯年収500万円ならば現実的です。

男は外に出て仕事をして金を稼ぐ、女は家にいて専業主婦をやる、という時代は過去の話なのです。

妻の学歴・年齢が高い夫婦は増加している

著者はこの時代に東京都内の4年生大学に進学しているのですが、「都内女子短大を出てエリート大卒夫の妻に」というのが、当時の「お嬢様」かつ女性の「結婚勝ち組コース」のイメージでした。「短大=高学歴化した花嫁学校」というイメージです。

本書の中で述べられているように、夫婦像として男性の方が学歴が高く年齢も高くあるのが一般的である、と考える方も少なくありません。では妻の方が高学歴であったり年齢が高い夫婦がマイノリティであるかというとそんなことはありません。

社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向基本調査(夫婦調査)」によると、かつては妻が高学歴の夫婦は20%未満だったのに対して、近年では25%以上、つまり4組に1組は女性が高学歴の夫婦であることが示されています。

年齢に関しても同様で、厚生労働省「平成27年人口動態調査」によると、1970年には10%だった女性が年上の夫婦は、2015年には24%と2倍以上に増えている結果となっています。

過去の常識にとらわれて、結婚相手を学歴や年齢でフィルタリングしてしまうのは現代の婚活においてはナンセンスな行為と言えます。

まとめ

結婚するためにはお金が必要なのかということについてみてきました。

当然お金はあるにこしたことはありませんが、いくら以上ないと結婚できないというボーダーはあなた自身が思っているよりも低いものであり、さらに簡単に乗り越えることができます。女性の場合は専業主婦ではなく結婚後に自分自身も働くことを考え、男性の場合は共働きを前提として家事育児も妻と同程度することをイメージできれば自然と結婚相手の幅も広がり婚活もスムーズに進みます。

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